日本ユニシスグループが持続的に成長し、中長期的な企業価値の向上を図るためには、適正かつ有効な監視・監督のもと、経営者による健全かつ迅速な経営判断を可能とする仕組み(コーポレート・ガバナンス)が不可欠であり、当社はその構築および維持ならびに不断の改善を行います。
また、企業の存在価値が、社会に対し貢献することにあることを踏まえ、すべてのステークホルダーとの信頼関係を構築することができるよう、「ステークホルダーの声に真摯に耳を傾け、企業価値向上に努めます」を企業理念の一つとして定めるとともに、当社はこの理念に沿って事業活動を進めます。
社外取締役を含む取締役会による監督、および社外監査役を含めた監査体制が経営の監視に有効と判断し、監査役会設置会社制度を採用しています。
取締役会については、市場環境の変化を踏まえた意思決定のスピードが求められることから、業界・社内の状況に精通した社内取締役を中心とし、これに加えて、豊富な経営経験や専門知識を有する人財を社外取締役として選任、より広い視野と客観性・透明性をあわせ持った意思決定、および職務執行に関する監督機能の実効性確保を目指しています。
当社役員の人事・報酬に関する事項を審議・答申する、取締役会の諮問委員会。委員(取締役)4人のうち2人が独立社外取締役、委員長も独立社外取締役が務めている。決議に際しては、独立社外取締役の出席が必須、かつ出席委員の全員一致が必要。
業務執行の重要事項を決定するための意思決定機関。メンバーは、取締役を兼務する執行役員等で、原則、毎週開催。
取締役の業務執行に関する個別の経営課題を実務的な観点から審議するために設置
基本的な考え方に示すように、当社グループは、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う仕組みとしてのコーポレート・ガバナンス強化のため、常に改善に取り組んでいます。
当社グループは、事業を通じて社会課題を解決し、顧客や社会からの信頼獲得によって、さらなるビジネス機会の拡大を目指しています。この持続的成長サイクルを実現し、ビジネスエコシステムを創出していくためには、ビジネスモデルの進化と価値創造プロセスに有効な、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を可能にするコーポレート・ガバナンス体制の構築と運用が不可欠です。
また、ビジネスエコシステムを創出するにあたっては、今まで以上に多様なステークホルダーとの関わりが重要となることから、取締役・監査役の多様性を確保するとともに、スピード感のある進化に向けた後継者計画も当社グループのコーポレート・ガバナンス体制の構築・運用において注力すべき重点項目として捉えています。さらに、こうした体制を推進していくため、企業価値の向上に向けた役員報酬制度の改善にも注力しています。
ここでは、当社グループのコーポレート・ガバナンス体制とともに、特に重点項目として捉えている、①取締役会の実効性評価、②取締役・監査役の多様性、③後継者計画、④役員報酬制度の4つの取り組みを中心にご説明します。
すべてに対応しています。コーポレート・ガバナンスおよび内部統制に関する詳細は、以下のWebサイトをご覧ください。
https://www.unisys.co.jp/invest-j/com/governance.html
執行役員を兼務する取締役(以下、経営陣幹部)候補者については、高いモチベーションおよび倫理観を備え、当社の経営を的確かつ効率的に遂行することができる知識および経験を有している者を選定します。また、社外からの取締役候補者については、多様性を考慮しつつ、豊富な経営経験や専門知識等を有し、社外の客観的・専門的見地から経営全般についての助言および監督を行うことができる者を選定します。経営陣幹部および社外取締役候補者の選定にあたっては、独立社外取締役が半数を占める指名・報酬委員会で策定する選定基準、選定プロセスに基づき、同委員会で候補者を選定し、その答申内容を踏まえ、取締役会にて決定します。
CEOを含む経営陣幹部が、法令または定款等に違反した場合、経営陣幹部として不正、不当または背信の行為等があった場合、またはその役割・機能を十分に発揮していないと判断される場合は、取締役会において審議のうえ、相当と判断される場合には、経営陣幹部としての役職を解任するものとします。
当社では、持続的な企業価値向上のためには、取締役会がその機能を十分発揮し、ガバナンスの強化を図ることが重要であると考え、2016年度より毎年、前年度の取締役会の実効性について分析・評価を行い、その機能向上に努めています。
2019年度は2018年度の取締役会の実効性評価において課題として抽出された、社外取締役の選解任基準の明確化、独立社外取締役の指名・報酬委員会の委員長就任ならびに役員報酬体系の再考などを対応方針に掲げ、これらに取り組んできました。2020年度はこれらを踏まえて「役員報酬につき、当社グループの持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するよう報酬体系を抜本的に改定する」「社外取締役の選任基準・選定プロセスに基づき、候補者の人選を行い、社外取締役の増員を実現する」などの取り組みに着手しています。
当社取締役会は、定数の1/3以上の独立社外取締役(うち2人は女性)を含む8人のメンバーで構成されています。社外取締役のバックグラウンドは多様で、経営や税務、SDGsなどに精通した専門家を選任しています。そして取締役会では、それぞれの専門性を活かした多角的な議論が行われています。なお、経営環境の変化に対応できる機動的な経営体制の確立と取締役の経営責任の明確化のため、取締役の任期は1年としています。監査役会についても、弁護士・公認会計士各1人を含む独立社外監査役が過半数を占めており、うち1人は女性を選任しています。
今後は多様性の視点を強く意識することで、引き続き、さまざまな人財を起用していく考えです。
人数 | うち社外 (うち女性) |
取締役会および監査役会に占める割合 | ||
---|---|---|---|---|
うち独立役員 | ||||
取締役会 | 8人 | 3人※(2人) | 3人 | 37.5% |
監査役会 | 5人 | 3人※(1人) | 3人 | 60.0% |
合計 | 13人 | 6人(3人) | 6人 | 46.1% |
当社では、候補者選定の透明性の確保と計画的な輩出を実現すべく、最高経営責任者をはじめ経営陣幹部の後継者に関する計画(サクセッション・プラン)も重要課題として捉えています。選定プロセスの透明性を確保するため、独立社外取締役が参画する指名・報酬委員会において審議し、取締役会に報告しています。
本計画のなかでは、最高経営責任者に求められる重要な資質として「真摯さ(integrity)」をベースとし、これに加えて右表のとおり「先見性・ビジョン構築力」や「洞察力・本質を見抜く力」など、7つの項目を重要なコンピテンシーとして定めています。なお、各要件の発揮度は、ビジネス環境(転換・変革期あるいは継続・拡大期)により変動すると考えています。7つのコンピテンシーは、真摯さをベースに、以下の3つのカテゴリーで構成されています。
「先見性・ビジョン構築力(Foresight)」とは、当社グループの将来を見通し、高い志を持ってビジョンを掲げ、未来への約束(コミットメント)をする力です。「洞察力・本質を見抜く力(Insight)」とは、グローバルな視点で世界の潮流や変化を読み解き、日本経済、つまり世の中の動きを洞察し、あらゆるものの価値の本質を見抜く力です。「決断力(Determination)」とは、予測不可能な状態のなかでも、リスクを認識したうえで、揺らぐことなく信念を持って方向性を決める力を指します。
「改革力(Innovation)」とは、前例や慣習にとらわれず、意欲的な姿勢で道なき道を切り拓き、困難に遭遇してもあきらめず、やり抜く力です。「情熱・発信力(Passion)」とは、何事にも情熱を持って取り組み、広くコミュニケーションをとりながら、周囲の協力や信頼・応援を得て進む力のことです。
また、高い情報感度と受信能力を持ち、夢の実現や達成すべき目標、課題解決の方向性に向けた発信ができる力です。
「実行・完遂力(Execution)」とは、企業が目指すべき高い目標とゴールを設定し、リーダーシップを発揮し、必ず実行し、やり遂げ、結果を残す力です。「多様性の受容・適応力(Diversity & Inclusion)」とは、企業の内外を問わず、さまざまな立場の人の価値観を認め、既成概念や既存の枠組みにとらわれず、広く交流する力です。バックグラウンドが異なるさまざまな企業の立場やものの考え方、異文化を理解し、積極的に関係を構築する力です。
また、2018年度に経営リーダープログラムを策定し、社内外有識者とのセッション、7つのコンピテンシーに照らしたアセスメント、タフアサインメントなどにより、最高経営責任者を含む経営陣幹部候補の人財プール強化を図っています。
1 | 先見性・ビジョン構築力 | Foresight |
---|---|---|
2 | 洞察力・本質を見抜く力 | Insight |
3 | 決断力 | Determination |
4 | 改革力 | Innovation |
5 | 情熱・発信力 | Passion |
6 | 実行・完遂力 | Execution |
7 | 多様性の受容・適応力 | Diversity & Inclusion |
経営リーダープログラムの目的は、社内外の経営者・有識者とのセッションや、アセスメント、タフアサインメントを通じ、日本ユニシス グループの未来を担う経営リーダー候補者のパイプラインを増強すること
経営リーダープログラム (3つの階層) |
ねらいと目的 |
---|---|
経営リーダー |
|
経営リーダーアドバンスト |
|
経営リーダーベーシック |
|
取締役の報酬は、業績連動を重視し、世間水準、従業員給与とのバランスを考慮のうえ、職責に見合った報酬を支給することを原則としています。その内訳は、(a)固定報酬(月額報酬の90%を現金で支給)、(b)親会社株主に帰属する当期純利益を指標とする年次の業績連動型賞与、および(c)株式報酬型ストックオプションによる中長期業績連動型報酬(月額報酬の10%を払込金額に充当)となっています。
また、当社役員の人事および報酬に関する事項を審議・答申するため、取締役会の諮問機関として、2人の独立社外取締役を含む4人の取締役により構成される「指名・報酬委員会」を設置しています。なお、(c)のストックオプションは、当社および子会社の取締役などに在任中は行使できません。
また、社外取締役など非業務執行取締役に対しては、業績との連動は行わず、固定的な月額報酬のみを支給しています。具体的な報酬額については、株主総会において決議された金額を上限として、独立社外取締役が参画する指名・報酬委員会において審議し、取締役会にて決定します。
取締役 | 非業務執行取締役(社外取締役等) | |
---|---|---|
方針 | 業績連動を重視し、世間水準、従業員給与とのバランスを考慮のうえ、職責に見合った報酬とする | 当該非業務執行取締役の経歴等を勘案したうえで、月額報酬のみとし、一定の金額を設定 |
報酬 | 固定報酬+親会社株主に帰属する当期純利益を指標とする年次の業績連動型賞与およびストックオプション(中長期業績連動型報酬) | 固定的な月額報酬 |
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる役員の員数(人) | ||
---|---|---|---|---|---|
(a)固定報酬 | (c)ストックオプション | (b)賞与 | |||
取締役 (社外取締役を除く) |
312 | 215 | 25※1 | 71※1 | 6 |
監査役 (社外監査役を除く) |
33 | 33 | -※2 | -※2 | 2 |
社外役員 | 63 | 63 | -※2 | -※2 | 6 |
当社は、取引先の成長性や将来性への評価、および商取引の維持・強化によって収益基盤の拡大につながるなど、当社グループの企業価値向上に資すると認められる場合には、当該取引先の株式を政策的に保有することがあります。株式取得に際しては、社内規程に則って取得の是非を判断し、保有後においては、毎年の取締役会で保有の適否の検証を行っています。その結果、経済合理性が乏しいと判断した銘柄に関しては、市場への影響なども配慮しつつ売却を進めています。2019年度は、検証の結果などを踏まえ8銘柄(うち非上場株式3銘柄)の売却を行いました。また、2020年3月末の保有銘柄については、保有目的の持続性、および中長期的視点での事業戦略との整合性を検証し、保有意義が薄れたことから売却方針とする銘柄を確認するとともに、その他の銘柄については、保有を継続することが妥当であることを確認したうえで、配当金・関連取引利益などの関連収益を検証し、概ね資本コストを上回ることを確認しました。
当社グループでは、株主・投資家の皆様へ適時適切に情報を開示するとともに、双方向のコミュニケーションを積み重ねることが公正な価値評価につながると考えており、社長、チーフ・ファイナンシャル・オフィサー(CFO)およびコーポレートガバナンス推進担当役員が中心となって積極的なIR活動およびSR活動を行っています。株主・投資家からの貴重なご意見は、経営陣幹部および取締役会に対して適時に報告するよう努め、経営の改善に役立てています。
四半期ごとの決算説明会開催に加え、スモールミーティングの実施や国内・海外投資家への個別取材対応など、投資家の皆様との建設的な対話に努めています。また、統合報告書の発行や、Webサイトを通じた開示情報の拡充など、当社グループの企業価値を適切に説明するための工夫も行っています。
基本的な考え方に示すように、当社グループは、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う仕組みとしてのコーポレート・ガバナンス強化のため、常に改善に取り組...
当社グループは、事業を通じて社会課題を解決し、顧客や社会からの信頼獲得によって、さらなるビジネス機会の拡大を目指しています。この持続的成長サイクルを実...
(2020年9月現在) 日本ユニシス株式会社 日本ユニシス・エクセリューションズ株式会社 ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ...